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パーキンソン病の症状・病態・疫学
症状
振戦

パーキンソン病の振戦の特徴は安静時振戦であり、動作時には減少、消失する。パーキンソン病のふるえの頻度は4~7Hzである。4~7Hzの丸薬を丸めているようなリズミカルな交互運動で、随意運動中は軽減ないし消失。睡眠時は認められない。

筋固縮

パーキンソン病の筋固縮は頸部、上下肢の筋にみられるが、特に頸部の筋、上肢では手指屈筋、回内筋に目立つ。筋の伸長に対して規則的な抵抗の変化を示し、歯車現象と呼ばれる。

関節を他動的に動かした場合の抵抗の増加で、鉛の管を曲げるような鉛管現象、ガクガクとした断続的な抵抗の歯車現象が認められる。下肢では鉛管現象が多い。

無動

パーキンソン病の患者の動作は全般的に遅く拙劣となるが、特に姿勢変換時に目立つ。表情の変化に乏しく(仮面様顔貌)、言葉は単調で低くなり、なにげない自然の動作が減少する。動作の開始や切り替えが緩慢。自発運動の減少、歩行時上肢の振りなど連合協調運動の消失、手の巧緻運動拙劣。

姿勢・歩行障害

パーキンソン病の患者の歩行は前傾前屈姿勢で、歩幅が狭く、速度が遅いが、特に狭い所では障害が目立つ。進行例では、歩行時に足が地面にはり付いて離れなくなる、いわゆるすくみ足が見られる。パーキンソン病の患者の姿勢保持障害は初期には見られないが、ある程度進行するとともに出現し、少しバランスを崩すと倒れることが多くなる。

精神症状

反応が遅い、うつ状態。

姿勢反射障害

姿勢バランスが崩れた時によろめいたり、こけたりする。

自律神経症状

便秘、たちくらみ(起立性低血圧)。

パーキンソン病の初発症状は、ふるえ、歩行障害、手足のこわばりなどが多い。一般に、一側の上肢又は下肢から発症し、パーキンソン病の進行とともに他側に及ぶ。パーキンソン病の症状の左右差は、症状が進行してからも続くことが多いです。

病態

パーキンソン病とは、黒質緻密部のドーパミン細胞が変性・脱落することによって、線条体でドーパミンが枯渇し、無動、固縮、振戦を主徴とする運動障害が発症する疾患です。その際、D1受容体を介する線条体の直接路細胞への興奮性入力が消失することにより、これらの細胞の活動性が減弱し、その結果、淡蒼球内節の神経活動は亢進します。

他方、D2受容体を介する線条体の間接路細胞への抑制性入力が消失することにより、これらの細胞の活動性が亢進し、その結果、淡蒼球外節の神経活動の減弱と、それに続く視床下核の神経活動の亢進が起こり、淡蒼球内節の神経活動は亢進します。

このように、パーキンソン病における線条体でのドーパミンの枯渇は、直接路と間接路のいずれにおいても、淡蒼球内節(黒質網様部でも同様)の神経活動を上昇させる方向に作用し、最終的に視床および大脳皮質の活動性を抑制することになります(図3 パーキンソン病)。

つまり、パーキンソン病では、淡蒼球内節や黒質網様部における神経活動の亢進によって、視床および大脳皮質に対する脱抑制が不十分になるため、運動を円滑に発現できなくなり、無動症状を呈すると解釈できるわけです。

疫学

パーキンソン病の患者は40歳以上ではおよそ250人に1人、65歳以上ではおよそ100人に1人にみられます。50~79歳でパーキンソン病の発症が多く、白人では黒人の2倍もパーキンソン病が多くなります。