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パーキンソン病の原因・メカニズム

パーキンソン病の原因は脳内の中脳という場所の黒質という部分の神経細胞の数が減ることが原因です。ここの神経細胞は、ドパミンという神経伝達物質を作ります。ドパミンはこの細胞が伸ばした突起を通して線条体という部分に運ばれ、突起の先端に貯蔵されて必要に応じて利用されます。

したがってパーキンソン病では線条体のドパミンが減少します。黒質のドパミンを作る細胞がなぜ減るのかはまだよくわかっていませんが、細胞の中にレビー小体というタンパク質が溜まることと関係があると考えられています。

レビー小体が溜まる原因として、いくつかの仮説が提唱されていますが、真相はまだ判っていません。パーキンソン病の神経細胞変性の原因は現在までのところ確定されていないですが、パーキンソン病は外因と素因の交互作用による多因子性の疾患だと考えられます。

外因

酸化的ストレス(黒質の鉄の役割とミトコンドリア呼吸酵素の異常)、環境毒など。

内因

家族的な素因。

パーキンソン病患者の黒質に影響する物質がいろいろあります。一酸化炭素、MPTPなどです。一酸化炭素中毒から回復したあとに、手足のふるえやぎこちなさなどのパーキンソン症状が始まることは珍しくありません。エコノモ脳炎は1910年前後に世界的に流行した脳炎です。

この病気にかかるとあたかもこんこんと寝たようになるので、嗜眠性脳炎とも呼ばれました。脳炎から回復し、意識が戻ってホッとしたのもつかの間、手足のふるえ、こわばり、歩行障害などがあらわれます。MPTPなど合成された麻薬を使った途端にパーキンソン病の症状が現れます。

遺伝性

パーキンソン病は通常遺伝はしませんが、若年発症パーキンソン病の一部は、家族性に起きます。

罹患率

パーキンソン病の罹患率は日本では、人口10万当たり100~150名の患者さんがおられます。パーキンソン病の発症年齢のピークは、50歳台後半から60歳台にあります。従って比較的高齢者に多いといえます。

しかし、例外的に20歳台の発症者や、80歳を超えてからの発症者もあります。男女比は、日本では女性の方が長命なので、女性の方に少し多いですが、発生頻度は男女同数です。

メカニズム

脳が、たとえば腕をもち上げるために筋肉を動かす信号を発したとき、この電気信号は脳の奥深くの大脳基底核を通ります。基底核は筋肉のスムーズな動きと姿勢の調整を行っています。

他の神経細胞と同様に、基底核の神経細胞群も化学伝達物質(神経伝達物質)を放出して、隣の神経細胞を刺激することにより信号を伝達します。基底核の主要な神経伝達物質はドパミンです。ドパミンの全体的効果は、筋肉に送られる信号を増幅することです。

パーキンソン病では、基底核の黒質と呼ばれる部位の神経細胞が変性するために、ドパミンの産生量が減り、神経細胞間の接続が減少します。その結果、正常なときのように筋肉をスムーズに動かせなくなり、振戦、協調運動障害が起こり、動作が小さく遅くなります(運動緩慢)。